なみ

なみ
I
なみ【並(み)】
〔動詞「なむ(並)」の連用形から〕
(1)世間一般にごく普通であること。 良くも悪くもなく, 平均的であること。

「~の人間には考えも及ばない」「~以下の出来」「天丼(テンドン)の~」

(2)同類であること。 同程度であること。

「岩畳恐(カシコ)き山と知りつつも我(アレ)は恋ふるか~ならなくに/万葉 1331」

(3)(「…のなみ」の形で)その類に共通すること。

「老の~に言ひすぐしもぞし侍る/大鏡(道隆)」

(4)名詞の下に付いて用いられる。 (ア)並んでいること, 一並びになっているものを表す。

「足~」「家~の尽きる辺り」(イ)同じ部類に属すること, 同じ程度であることを表す。 「十人~」「自転車~の速さ」(ウ)その一つ一つが皆そうであること, それらに共通であることを表す。 「軒~店を閉めている」

II
なみ【波・浪】
(1)風・振動などによって水面に生じる上下運動。 また, その運動が次々に周辺に伝わっていく現象。

「~が荒い」「~をかぶる」

(2)〔物〕「波動(ハドウ)」に同じ。
(3)ゆるやかな起伏を繰り返したり, ゆらいだりして, 波{(1)}のように見える状態。

「歓迎の旗の~」「穂~」

(4)高くなったり, 低くなったりして, 絶えず変動する状態。

「作品の出来に~がある」「景気の~」「感情の~」

(5)一つの方向に向かう流れ。 傾向。

「駅へ向かう人の~」「自由化の~」「不況の~をまともにかぶる」

(6)年老いて皮膚にできる, しわ。

「老いの~」「はや額の~いちじるし/文づかひ(鴎外)」

(7)世の中の騒ぎ。 波乱。 騒乱。

「四つの海~の声きこえず/後拾遺(序)」

(8)消えやすいもの。 はかないもの。

「さては疑ひあら磯の, ~と消えにし跡なれや/謡曲・江口」

(9)文様・家紋の一。 {(1)}を図案化したもの。 山内一豊が好んだ。
~に乗・る
(1)時の流れにのる。 時勢にうまく合って進展する。

「時局の~・る」「景気の~・って急成長する」

(2)勢いにのる。 調子にのる。

「連勝の~・る」

~にも磯(イソ)にもつかず
どっちつかずである。 中途半端である。

「~ぬ心地ぞせられける/平家 7」

~を打・つ
「波打(ナミウ)つ」に同じ。
~を切・る
船などが, 水をかき分けて進む。
III
なみ【無み】
〔文語形容詞「無し」の語幹に接尾語「み」の付いた語〕
無いので。 無いために。 無いゆえ。

「若の浦に潮満ち来れば潟(カタ)を~葦辺(アシベ)をさして鶴(タヅ)鳴き渡る/万葉 919」


Japanese explanatory dictionaries. 2013.

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